何も成し遂げられなかったわたしの拠り所としての育児

 

私は悲しくなるくらい普通だ。とりえも特にない。学力というか学歴も、頭の良さも、顔も、たぶん普通。性格はちょっといいような気がしているけれど、それも要するにとがっていない、おもしろくないということでもある。

もっとよりよく生まれたかったなあ。すごく賢いとか、すごく努力できるとか、すごくかわいいとか、すごくセンスがいいとか。キャリアウーマンにもなってみたかったし、芸能人にもなってみたかった。作家もいいし、ジャーナリストもいい。とにかくちょっと目立つ、とがった仕事をしているかっこいい女性になりたかった。でも全然ダメ。手持ちのカードがすべて凡庸だった。過剰な自意識以外は。そして過剰な自意識は何の役にも立たない。結局私はかっこいいこと、人に自慢できることは何ひとつできなかった。

 

そんな私が唯一「ちゃんとやった感」を持っているのが育児。(あくまで「感」。そして自慢できることでもないけど、でも。)

25歳で双子の男児を産んで、とりあえず12歳まで育てた。健康で穏やかなーー運動神経と勉強と顔はまあ普通くらいだけどーー男の子たちだ。育児をちゃんとやったっていっても、私がやったのは最低限のことだけで、なんとなく育ってしまった。でも形もなかったものが、一人の立派な人間になっていると、なんとなく達成感がある。私が生み出したものがちゃんとした形になって!という気持ち。もちろんそんなことは子供たちには言わないで、「私はただの優しいお母さんですよ」という顔をしているけれども。

 

この子たちをみてると、このどうしようもなく凡庸な私でも、この世界でなんらかの役割を果たしているのかなという気がするのだ。気のせいかもしれないけど。

目に見える、「生きてる意味のようなもの」が欲しいなあ、と思う方に、育児はおすすめできるオプションの一つだな、なんて思う。だって、生まれて1,2年だけがんばれば、そこからはほぼ勝手に育つんだもん。かわいかったり面白かったりもするし、本当にすごく良い。おすすめ。まあ、面倒なことも多いけれどね。

 

Papa told me 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

Papa told me 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)